幼虫たちの護身術

木々の若葉がぐんぐん伸びてくると、それを食樹としている幼虫たちもどんどん成長してくる。
そして、小鳥たちがその幼虫を渡りの栄養補給にしたり、子育ての餌にしたりするために狩る。
幼虫たちは、少しでもその難を逃れようと、護身術を身に着けているのだが。

その護身術の一端をハマキガの仲間で観察。

●ビロウドハマキの幼虫
↓キンモクセイの葉からぶら下がっているビロウドハマキの幼虫。2012年5月16日。井の頭公園
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幼虫が糸でぶら下がって宙に浮いている状態は、今の時期よく見かける。
翅もなく急いで敵から逃げる手段のない幼虫たちは、葉の上から落下することによって、
急に姿を消して捕食を免れようとするらしい。
もちろん、完全に落ちてしまったら、今度は食べ物である葉に戻れなくなってしまうので、
糸を引いてぶら下がり、やがて糸をたどってもとの場所に戻る。

このビロウドハマキに幼虫はとても低い木の葉からぶら下がっていたので、戻る様子を観察した。
黒い頭の左手辺りに、手繰り寄せて丸めた糸の塊が見える。

↓葉にたどりつき、脚をかけて這い上がる。
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↓糸の塊は足元に置かれている。
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手繰り寄せた糸を食べてしまうのではないかという話も聞いたことがあるが、違うようだ。

ビロウドハマキはハマキガだから、きっと葉を巻いて身を隠すという護身術も身に着けているはずなのだが、
あとで探してみたが、見当たらない。
上手に隠れたのか、護身術も効かずに小鳥の餌になってしまったのか。
(あたりはムクドリだらけだった。)

●ミダレカクモンハマキの幼虫
華やかな花で私たちを楽しませてくれた桜の木。今は伸びてきた葉があっというまに虫食い状態。
桜の葉を食べる虫は五万といるらしい。

その中で、葉を折り曲げて糸で綴り、その中に身を隠すハマキガの幼虫がいる。
名前は自信がないが、いちおうミダレカクモンハマキに一番似ているので、そう呼ぶことにする。

↓ミダレカクモンハマキの幼虫。2012年5月16日。井の頭公園のソメイヨシノにて。
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この幼虫の姿を見ようと中を覗いたり、そっと葉を開いてみたりすると、幼虫はたちまち落ちてしまう。
これも落下による護身術だろう。

↓糸を引いてぶら下がるミダレカクモンハマキの幼虫。
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よく見ると、糸は前脚(胸脚)でつかんでいるのがわかった。
やはり脚で手繰り寄せていくのだ。

↓これはその蛹らしい。
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私が開いてしまったので、中身が露わになってしまったが、もとは葉を綴って隠れていた。

このように、ハマキガの幼虫は、葉の中に身を隠すことと、落下で敵の目の前から姿を消すという、少なくとも二つの護身術を身に着けていることが分かる。

飛ぶのがあまり得意でない甲虫類(例えばゾウムシ)なども、すぐに落下して姿を消すことが多い。
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by 2008oharu | 2012-05-17 21:32 | | Comments(2)
Commented by みき♂ at 2012-05-18 04:08 x
こんにちは。おはるさんの観察振りには本当に頭が下がります。
私は気が短いのでその場に5分といられません(苦笑)。
17日は木柵でアカスジキンカメムシの5齢幼虫が脱皮しかけているのを見つけて、周囲をひと回りして何とか30分ほど潰して戻ってみると…あまり変化がなかったので帰ってしまいました。
ビロウドハマキやミノウスバは昨年見そびれてしまったので、今年こそは成虫に出会いたいと思っています。この春、幼虫はたくさん見たので期待大ですね。
Commented by 2008oharu at 2012-05-18 17:55
いちおうブログのタイトルからも、ファーブル昆虫記の向こうをはって?観察しようとしているのですけどね(笑)。 ミノウスバの幼虫は擬木柵に多く見られるので、擬木柵沿いのマユミ辺りが観察ポイントかもしれませんね。 ビロウドハマキは南方系が北上してきたものだそうですね。割と偶然に見つかる感じです。 (おはる)
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