スジグロシロチョウが消える?

昨年度から、井の頭公園の昆虫リストを仲間といっしょに作り始めた。
年末にそれをまとめていたとき、蝶のリストの中にスジグロシロチョウが入っていないのに気が付いて焦った。
そもそもこのリストづくりは、かなり適当で、たまたま目についたものを記録するという程度なので、抜けてしまう種も多い。
特にモンシロチョウやスジグロシロチョウはあまりにも普通種なので、意識して見ようとしなかったのかもしれない。
もしやと思って、モンシロチョウとして撮った写真を徹底的にチェックしたら、なんとか1枚スジグロシロチョウらしいものが入っていたので、一応リストに入れておいた。

今年はこんなことが起こらないように、スジグロシロチョウも確実にチェックしようと春を迎えたのだが、実は井の頭公園内ではまだ見つけられないでいる。

そして、昨年からの印象では、モンシロチョウがやたら増えているような感じなのだ。

6月のモンシロチョウ・スジグロシロチョウは2化目の個体が増え始める時期だ。

2010年6月10日、井の頭公園・神田川で、スジグロシロチョウのオスたちが数匹吸水している場面を見た。
↓スジグロシロチョウのオスたち。
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今年もたまたま6月10日に同じ場所で観察する機会があったので、シロチョウをチェックして回ったが、目にするのはモンシロチョウばかり。

↓神田川のモンシロチョウ。2012年6月10日。
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モンシロチョウとスジグロシロチョウは、食草(アブラナ科)もかなり重なっているし、訪れる花も重複していることが多い。
しかし、モンシロチョウは明るい草原を好み、スジグロシロチョウは林縁部のやや日陰を好む。
6月の林縁部の花といえば、トウネズミモチやサンゴジュなどで、これらの木の花に訪れているのは、今まではたいていスジグロシロチョウだった。

↓トウネズミモチで吸蜜するスジグロシロチョウ。2008年6月5日。玉川上水縁。
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↓サンゴジュの花で吸蜜するスジグロシロチョウ。2008年6月14日。善福寺公園。
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2010年6月7日には井の頭公園の池周りに生えているトウネズミモチにもスジグロシロチョウが盛んに来ていた。
↓公園のスジグロシロチョウ。2010年6月7日。
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今年もトウネズミモチの花が咲き始めているので、スジグロシロチョウを見つけようとしたが、今年は今のところ見つけられない。

つまり、2011年からスジグロシロチョウがほとんど消えてしまったような感じなのだ。
あるいは、それが大げさなら、かなり数が減ってきているような感じだ。
この傾向は、井の頭公園だけの現象なのだろうか。

先日野川公園へ行ったら、なんと木の下のハルジオンにスジグロシロチョウが見つかったので、うれしくて写真を撮った。
↓2012年6月7日。野川公園のスジグロシロチョウ。
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少なくとも野川公園では健在だった。

モンシロチョウの個体数の変遷は増減が大きいことが知られている。
モンシロチョウと言えばキャベツを好むことが有名だが、キャベツ畑は都会からは激減した。それにともない、ある時期モンシロチョウもかなり減ったようだが、その後、他の園芸種、例えばムラサキハナナなどの広がりもあって、また盛り返したらしい。
モンシロチョウは世代交代が短いので、環境の変化にも早く適応できるのだ。

それに対し、スジグロシロチョウはやや定着性が強く、世代交代もやや長いので、環境が変わると対応も遅れるのかもしれない。
では、いったい井の頭公園のどんな環境の変化がスジグロシロチョウに影響を与えたのだろうか。
他地域ではどうなのだろうか。
これは一過性の現象なのか、それとも今後も続くのか、今年は注意して観察していきたい。
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by 2008oharu | 2012-06-12 11:54 | | Comments(6)
Commented by みき♂ at 2012-06-13 00:12 x
こんにちは。
あまり熱心に追いかけないせいもあるかもしれませんが、言われてみると確かに少なく、私は今年は1匹しか写真に撮っていないようです。
これから気をつけて見てみます。
Commented by おはる at 2012-06-13 23:09 x
みき♂さん、ぜひ観察してみてください。いろいろな方の目で確かめていただきたいです。情報をお待ちしています。
Commented by grassmonblue at 2012-06-13 23:57 x
5月末、野川公園、武蔵野公園で多くのシロチョウを見ましたが、確認できたものは全てモンシロチョウでした。
例年、圧倒的にスジグロチョウが多く、反面モンシロチョウが少ない場所であるので、とても意外に思い、拙ブログにもそのむね記したところでした。
モンシロとスジグロの消長は、エリア毎に年々変動するようですね。
野川公園の6月上旬といえば、スジグロチョウだらけという状態でしたから、うれしくて写真を撮ったという状況ならば、本当に激減していますね。
6月の野川公園の当方の記録では、2010年までは1日当り多数確認、2011年は数頭確認となっていて、確かに2011年は減り気味のような感じとなっています。昨年までは体感的にモンシロが多くスジグロが少ないとは感じませんでした。データ数が少ないので断言できませんが、メモを見ると昨年から減少傾向になっていることがうかがえると言えるかもしれません。
最近フィールドにあまり出ていないので、おはるさんの観察結果を期待しています。

Commented by おはる at 2012-06-14 09:22 x
grassmonblueさん、コメントありがとうございます。井の頭でも一時はモンシロチョウがほとんど見られず、スジグロシロチョウばかりという状況がありました。それが最近、モンシロチョウがけっこう多くなったなぁぐらいな感じはしていたのですが、あまりに普通種なので、あまり注意を払わなかったのです。
今年は井の頭のみならず、あちこちで注意して観察したいと思います。
Commented by ATS at 2012-06-16 18:19 x
こんばんは。

いつもtwitterを拝見していますが、この記事を見落としていました。
済みません。
さて、スジグロシロチョウですが、今年は当地でも少なくて人家の近くで出会うのはモンシロチョウばかりです。

以下に東京都におけるモンシロチョウとスジグロシロチョウの分布の変遷について研究した論文があります。
これによると1960年代まではモンシロが多かったが80年代はスジグロが多く、90年代以降は再びモンシロが増えているということで、この傾向が現在まで続いているように思います。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110007034421
(オープンアクセスまたはプレビューをクリックすると全文が読めます)

この傾向は「郊外の市町村や島嶼部でも見られる」とのことで原因は都市化に伴う自然環境の変化ばかりではないようです。

生物の消長にはまだまだわからないことが多いですね。

Commented by おはる at 2012-06-17 08:10 x
ATSさん、コメントありがとうございます。
私もtwitterなど、いつも参考にさせていただいています。

そちらでもスジグロシロチョウは少ないのですか。
お寄せくださった情報を読みましたが、これが原因とはっきりは言えないのですね。
ほんとうに生物の消長は謎に満ちていると思いますが、起こっている現象を見逃さないように、注意して観察していきたいです。
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近所の公園で見かけた昆虫についての雑記帳


by 2008oharu
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