ジャコウアゲハ 2015

↓ジャコウアゲハのオス 2015年8月24日 東京郊外
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ジャコウアゲハのメスは、幼虫の食草であるウマノスズクサ近くで待っていれば、かなりの頻度で見られるが、オスとの遭遇率はメスより低い。他のアゲハ類がよく吸蜜する花で待っていてもあまり現れない。
飛んでいる状態では、他の黒いアゲハ類と見分けるのがちょっと難しいが、腹が赤いことが見て取れればなんとかわかる。

オスはその名の由来となったじゃ香の香りがすると言われているが、オスとの遭遇率が低いせいもあって、未だ確かめられないでいる。
「イモムシのふしぎ」(森 昭彦著)によれば、芳香族アルデヒド類とリナロールがもたらす香りなのだそうだ。その香りは何のために発するのだろう。メスを惹きつけるためなのか。

↓ジャコウアゲハのメス 片方の尾状突起が千切れている。 2015年9月22日
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このメスも、ウマノスズクサの生えている辺りで休憩中だった。少ししてまた産卵行動を始めた。
メスは翅の色が独特なので、容易に識別できる。

↓ウマノスズクサに産み付けられた卵
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「虫の卵ハンドブック」(鈴木知之著 分父総合出版)によれば、「卵の表面を覆うオレンジ色の粘着性分泌物は、有毒物質として知られるアリストロキア酸を含んでいる。」そうだ。

↓若齢幼虫
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卵から孵ったばかりの幼虫。卵の殻は食べてしまうようだ。幼虫が食べるウマノスズクサも毒草なので、天敵に食べられることはないらしい。

しかし、地元では、ウマノスズクサはヤマノイモとかヘクソカズラとか、他のつる性植物といっしょにからまったりして、いかにも雑草という感じに見えるのか、たいてい抜かれたり切られてしまうことが多く、せっかく産み付けられた卵が蛹になるまでを観察するのは難しい。

↓終齢幼虫
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こちらは、ウマノスズクサが保護されている場所で、そういうところでは、たくさんの幼虫が生き残っている。むしろ、食草のウマノスズクサが足りなくなりそうな勢いである。食草が足りなくなると共食いもするそうだ。
他のアゲハ類とは色も形の全く違う。

↓ジャコウアゲハの蛹(保護された場所のもの)
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地元では、食草は刈り取られているが、その前に無事に蛹になったようだ。
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蛹も他のアゲハ類とはこれもまたまったく違う形をしていて、「お菊虫」と呼ばれている。

卵や幼虫、成虫も毒で守られているジャコウアゲハだが、この蛹が無事に羽化する確率はとても低い。今まで観察してきた蛹のほとんどが寄生(ハエだそうだ)されてしまうようだ。羽化の様子を見ることはもちろん難しそうだが、無事に抜け出た蛹の殻さえもなかなか見つからない。

毒蝶といわれていても、食草の偏りと寄生のために、他のアゲハと比べて生存率が格段に高いとは言えないようだ。
少なくとも、ウマノスズクサさえあれば、細々ながら命をつないでいるので、ウマノスズクサを絶やさないようにしてほしい。
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by 2008oharu | 2015-10-08 22:13 | | Comments(2)
Commented by yamap at 2015-10-10 21:13 x
今年はジャコウアゲハを良く見ました。ただ、ジャコウアゲハだということはわかるものの飛んで行ってしまうか、パタパタし続けているかで、静止したものを見たことがなく、メスの白く色が抜けたような羽はなんとも妖艶ですね!
Commented by 2008oharu at 2015-10-11 11:25
yamapさん、今年は多いのでしょうか。ジャコウアゲハは、自分が毒蝶だから襲われないと思ってか、わりと優雅に飛びますね。ウマノスズクサの周りで待てば、止まっているところや産卵しているところが見られるかと思います。
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