ハイイロチョッキリを始めて見たのは、2006年7月22日。
↓玉川上水縁にて。
たまたま葉の上に止まっていた昆虫をデジカメして、名前を調べただけのことで、そのあとすっかり忘れていた。
今年の7月、善福寺でコナラの枝がたくさん落ちているのを見て、ある方が虫が落としたのだとおっしゃったので、その虫を確か見たことがあることを思い出し、「チョッキリですね。」と答えた。あとでもう一度調べようと思いつつ、その時もそのまま忘れてしまった。
↓ハイイロチョッキリによって落とされたコナラの枝。
旅行から帰ってくると、観察仲間の方から、ハイイロチョッキリの交尾・産卵から枝を切り落とすまでを観察できたとの連絡があり、私も是非見たいと今度は忘れず行動に移す。
ハイイロチョッキリは交尾した後、メスが口吻で殻斗(ドングリの帽子)部分から穴をあけ、そこに産卵管を差し込んで産卵し、そのあと口吻をつかって穴を詰める。そして最後にドングリのついた枝を切り落とすのだ。
いくつかの観察ポイントを教えていただいたが、一番の問題は、コナラのドングリはたいてい木の高い位置になっているので、たとえハイイロチョッキリがいても、詳細を観察するのが難しいということだ。
玉川上水を歩いているとき、何箇所か枝が上水の手すりまで伸びてきているのを覚えていたので、それを探しに行った。
ラッキーなことに、2~3箇所チェックしたら、ハイイロチョッキリが見つかった。
以下の写真は2009年8月18日~22日の間に玉川上水縁で撮ったものである。
↓交尾するハイイロチョッキリ。
↓別ペアの交尾
メスは殻斗に口吻をつけているように見えるが、穴を開けようとしているのか、それとも産卵した穴を埋めようとしているのか、ただ下を向いているだけなのかわからない。
↓メスの作業を見守るオス。
オスの陰になっているので、こちらも穴を開けているのか詰めているのかよくわからない。
↓口吻を差し込んでいるように見えるメス。
↓産卵したあと?
という具合で、なかなか何をしているか決定的な場面を確かめられなかった。
何より残念なことは、枝を切り落とすシーンを見ることができなかったことだ。
(産卵前に枝に切り込みを入れてあるものは観察できたが。)
ネットで調べると、枝を切る割合は46%ぐらいと書かれたサイトもあった。
枝が切られていなくても産卵を終えているのかどうかは、ドングリを割ってみないとわからない。
↓産卵のあとと思われる穴。
殻斗をはがすと、中のドングリまで穴が開いているのがわかる。
これに爪を立てて裂くと、案外柔らかく割ることができる。
↓ドングリの中の卵。
茶色くなった部屋の中に、米粒型の白い卵がある。
この方法で枝が切られていないドングリを割ってみたら、確かに卵が入っていた。
今回の観察で一番の謎は、この写真。
このメスは、オスが見守る中でおしりからオレンジ色の物体を2回排出した。
Aさんが紹介してくれた「どんぐりの穴のひみつ」(高瀬芳恵著)を読むと、メスは穴を掘りながらカスを食べ、真っ黒い糞をすると書かれている。上の写真の排泄物はオレンジ色だが、排泄されてしばらくすると黒くなった。やはり排泄物だったのだろうか。