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公園昆虫記

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アサマイチモンジ(2)

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アサマイチモンジを観察した場所は、スイカズラの他に、エノキ、シャリンバイ、ウマノスズクサなど多数の植物がおりなすブッシュになっていて、アサマイチモンジの他にも、ジャコウアゲハ・アカボシゴマダラ・アゲハ類などいろいろな種類のチョウがやってくる。

アサマイチモンジを観察していると、食草のスイカズラだけでなく、なぜかシャリンバイにもよく止まる。初めはただ休憩のために止まるのかと思っていたが、よく見ると、シャリンバイに止まったアサマイチモンジは口吻を伸ばしていることが多いのだ。
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口吻を伸ばしながら葉の表を移動するアサマイチモンジ
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やがて、主脈上にある汁のようなものを探り当て、盛んに吸い始めた。
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別の場面では、やはりシャリンバイの枝を移動して、枝についた汁のようなものを吸っているように見えた。
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たぶん、アブラムシのようなものがついていて、それが排出する汁を吸っているのではないか。
家に帰ってシャリンバイについて調べてみると、アブラムシやカイガラムシがよくつくらしいこともわかった。

あたりにはスイカズラの花が咲いていたし、シャリンバイの花も咲いていたが、アサマイチモンジはそれらの花には一度も訪れなかった。もっぱら樹液のようなものを好むチョウらしい。

この場所は、食草のスイカズラがあり、餌となる樹液(排出液?)もあり、アサマイチモンジには理想的な生息地になっているのかもしれない。

「森と樹と蝶と」「小さな蝶たち」などの著者、西口親雄氏によると、アサマイチモンジはかって「スイカズラ王国・中国の西部を中心に、日本の温帯域にまで分布を広げ、ゆうゆうと生活していた。ところが、(食草を同じくする)イチモンジチョウの出現でふるさとを追われ、日本という隔離列島で、なんとか生き残ることができた。」そして、その後さらに進化したミスジ型イチモンジチョウによって、イチモンジチョウも大陸を追われてきたという。

今、スイカズラがたくさんある状態なら、アサマイチモンジとイチモンジチョウは日本で共存できるはずだが、スイカズラが減ってしまうと、アサマイチモンジはまたイチモンジチョウに圧力を加えられるかもしれないと氏は懸念している。

この場所のスイカズラも、以前はフェンスにたくさん絡まっていたそうだが、今はフェンスからはきれいに刈り取られている。どうかこれ以上減らさないで、アサマイチモンジの生息地を守ってほしい。





by 2008oharu | 2017-05-26 07:45 | | Comments(4)
Commented by ヘムレン at 2017-05-26 08:24 x
最初に見つけたとき、網に絡み付いたスイカズラ、コンクリートで固められた川、汚れた水...なんとも自然からかけ離れた場所だなぁという印象でした。人の手が加えられた..というよりは、人の生活のために作られた場所での発生。なんとも複雑な思いを感じたのを覚えています。初めてアサマイチモンジに出会ったのは奥多摩の林道でした。でも、以来、出会うのは人の生活環境との境界線上ばかり、里山の蝶と似たものがありますね(^^;
Commented by banyan10 at 2017-05-27 17:56
ここではウラギンシジミの交尾を撮影したこともあります。不思議な環境ですが、各種の蝶が集まっていますね。
僕が最初に撮影したときはストローの先がアブラムシっぽく見えました。
この記事と同じ日ですが、2度目は少し早い時間に行って、何度かシャリンバイでの吸蜜を撮影しています。この時は吸汁は確認していませんが、見逃していただけかもしれませんし、時間帯が案敬しているのかもしれないですね。
Commented by 2008oharu at 2017-05-27 22:08
ヘムレンさん、コメントありがとうございます。人間にとっては、自然度が低いように見えるところでも、草木が茂っていさえすれば、案外生き物たちは生活できるのかもしれませんね。見栄えよくするために、こんな環境すらもなくしてしまうことが多い昨今、せめてここは残しておいてほしいです。
Commented by 2008oharu at 2017-05-27 22:11
banyanさん、コメントありがとうございます。アサマイチモンジは花で吸蜜もするのですね。やはりじっくり何度も観察することが大切なのかもしれません。ウラギンシジミの交尾も見たかったです。