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公園昆虫記

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ウスタビガ 2018

ウスタビガは地元の公園では見られない。観察仲間の方が発見した別の公園で観察し始めて今年で7年目になる。その間熱心に観察した年もあれば、1頭だけ確認して終わりにしてしまった年もあった。今年は観察仲間も増え、情報が多く入ってきたこと、例年に比べると比較的たくさん見られたことなのから、数回通って観察できた。
観察を続けると、いろいろな事実が見えてきたり、疑問が湧いてきたりする。それを自分なりにまとめてみたい。

●なぜ街路灯に止まることが多いのか。
昼間のウスタビガはいろいろなところで見つかる。
建物の壁(♀)
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木の枝(♀)
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そして街路灯(♀)
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♂も街路灯に
ウスタビガ 2018_d0146854_09430448.jpg
私が見たもののうちでは、街路灯には9頭(交尾ペアを含む)、木の枝には4頭、壁に1頭ぐらいだった。
以前は、ウスタビガは夜行性であり、夜の光に集まる性質があるので街路灯に来て、昼間はそのままそこで休んでいるのだというイメージを持っていた。
ところが今回、他の方の観察によれば、朝街路灯に止まっていた♂3頭がみな昼前には飛び立っていってしまったという。さらに、午前中♀1頭が止まっていたところへ、午後行ってみると♂が来て交尾してるのも発見。

街路灯での昼間の交尾
ウスタビガ 2018_d0146854_10032480.jpg
また、昼間♀がコーリングしているのも確認
木の枝でコーリング
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街路灯でコーリング
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お仲間の観察によれば、壁に止まっていた♀もコーリングしているときがあったそうだ。
私が見た限りでは、翅を開いて止まっているときは、休憩中、翅をぱたぱたさせているときは、コーリングしている場合が多い。

このような観察例から、ウスタビガは昼間も活動している(飛び回ったり、コーリングしたりする)らしいということがわかった。それなら、光を発していない街路灯に止まらなくてもよさそうだが、なぜだろうか。
これは、全く私の想像に過ぎないが、周りに遮るものが少ない高い位置に止まってコーリングした方が、フェロモンが広がりやすいのではないかということも考えられる。
♀が飛ぶのは、いくらコーリングしても♂がやってこないとき、場所を替えるためではないだろうか。
では、♂はなぜ街路灯に止まるのか。観察仲間の方は、そこに♀のフェロモンが残っているのかもしれないと推測している。

蛾が夜活動するメリットは捕食者(主に鳥)が活動していない時間帯であること、では、昼間活動するメリットは何だろう。考えられるのは晩秋のこの時期、昼間の方が暖かいということぐらいなのだが…。

●卵はどこで産む?
♀が飛ぶ理由でもう一つ考えられるのは、産卵する場所へ行くためということ。ウスタビガの幼虫の食樹はかなり広範囲で、私たちが観察した範囲ではサクラ・ウメ・モミジ・ケヤキなどだった。(繭がついていた樹木から推測)

今季お仲間が羽化前に発見した繭(梅についていた)
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しかし、実際に♀が樹木に産卵しているシーンはなかなか見ることができない。
私たちが今季見たのは、

街路灯に産卵しているもの
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食樹ではありえないと思われるイチョウで産卵しようとしているもの
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この♀は、結局力尽きてお腹に卵をつけたまま死んでしまったと思われる。
これらの現象は、なんらかの例外、あるいは未受精卵だったりするのか。それとも、食樹でないところでも孵った幼虫は自分で食樹へ移動するのか。謎は尽きない。

これらの疑問のいくつかについて、ネットで検索もしてみたが、実に様々な見解が見られた。でも、それが個人の意見なのか科学的に立証された見解なのかはわからないし、地域差などもあるのかもしれないので、そのまま鵜呑みにはできない。
私の推測も何の科学的根拠もなにので、見当違いかもしれないことはご承知おきください。

また来年出会えて、あれこれ推測する楽しみを与えてくれるとうれしい。







by 2008oharu | 2018-11-23 10:36 | | Comments(2)
Commented by yamap at 2018-11-23 21:42 x
わたしらは、ウスタビガを知ってからまだ5年ぐらいですが、ちょっとずつそのライフサイクルの一端を見れるようになりました。
行動範囲もそんなに大きいようには見えず、動きもゆっくりだし大きくて、捕食者からするとこんなに容易い獲物はないんじゃないかと思えてしまうのですが、ちゃんと生き残っていっている。すごいなぁと思います。
すっかりファンになりました。
Commented by 2008oharu at 2018-11-23 21:51
yamapさんたちは、幼虫も蛹化も見られているのでうらやましいです。私の来年(ずっと前からそういっていますが)の課題です。