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公園昆虫記

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トンボ2020 イトトンボの場合

8月中旬、観察仲間から林縁部でイトトンボを見たと連絡があった。ここでよく見られるオオアオイトトンボではないらしい。
撮った写真を見せてもらうと、どうもホソミイトトンボのようだ。(眼後紋がつながって見える)

ホソミイトトンボは、地元の公園では今まで越冬個体を見たことはあるが、夏に見るのは初めてだった。
同じ場所で私も探した結果、メスの個体を発見。その後園内2か所の草地でも発見する。
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▲8月19日に見たホソミイトトンボ。小さくて遠いので撮るのが難しかった。

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▲8月29日に園内の他所で見たホソミイトトンボ

「日本のトンボ」によれば、ホソミイトトンボには、「夏型と越冬型があり、夏型は初夏に羽化して夏に産卵し、越冬型は秋に羽化後、成虫のまま越冬して翌年春に産卵する。」とある。今回発見したのは、越冬型の可能性が高い。この場で数個体見つけたということは、地元の水系から羽化したと思われる。新発見だ。

10月も下旬のころになると、例年越冬個体が見られた林縁南で、また姿を現すようになった。
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▲10月25日のホソミイトトンボ
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▲10月29日のホソミイトトンボ

来春、きれいなブルーになって、地元の水系で産卵するのが見られるかもしれないと夢が膨らむ。

園内で越冬するトンボには、もう1種ホソミオツネントンボがいる。これも毎年林縁南で越冬しているようだが、どこから羽化した個体なのか未だ不明だ。地元の水系で見つけられたらうれしい。
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▲11月1日のホソミオツネントンボ

さて、地元の池では、昨年ムスジイトトンボが大繁殖したので、果たして今年はどうなるかと注目していた。

昨年の記事

ムスジイトトンボは、5月にはすでに出現して繁殖を始め、6月には1日に500個体以上数えるほどの数になり、このまま増えれば今年も池はムスジイトトンボで埋め尽くされるのではないかと思われた。
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▲5~6月のムスジイトトンボ

しかし、7月に入ると異変が起こる。探してもなかなか見つからなくなったのだ。
ちょうどそのころ、昨年池に繁茂していたツツイトモがどんどん消えていった。水草に産卵し、ヤゴは水草に依拠して暮らしているイトトンボたちの生息環境が減ってしまったことが原因のようだ。
それでも、池の水草が生えているような場所にはムスジイトトンボが固まって生息しているのが見られ、まだまだ池の優勢種ではある。

トンボたちは、種類によって異なった生息環境を選ぶ。多様なトンボが生息できる池にするためには、池に多様な環境があることが必要なのだとつくづく実感した。

その他
今年もチョウトンボが複数個体見られ、この池で繁殖し始めているらしいことがわかった。
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ミヤマアカネが今年も見られた。
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ハグロトンボは、年によって多い少ないの波があるが、ことは多かった。
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かいぼりによって攪乱された地元の池がどのように変わっていくのか、トンボを通して考えてきた3年間。まだまだ流動的で興味は尽きない。



by 2008oharu | 2020-12-21 10:22 | 蜻蛉 | Comments(0)